パントテン酸(ビタミンB5)

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パントテン酸(ビタミンB5):ストレスに負けない体へ!「美と活力の万能ビタミン」

はじめに:パントテン酸は、あなたの体の「ストレス緩和サポーター」!

「パントテン酸」という名前は、あまり聞き慣れないかもしれませんね。しかし、このビタミンB群の一種であるパントテン酸(ビタミンB5)は、私たちの体が**日々のストレスに対抗し、美しく健康に過ごすために欠かせない**、まさに「ストレス緩和サポーター」とも言える非常に重要な栄養素なんです。

実はパントテン酸は、エネルギー生産や、皮膚・髪の健康、さらにはホルモンの合成まで、**体の様々な代謝プロセスに深く関わる「万能ビタミン」**。今回は、その**パントテン酸の驚くべき働き**と、**毎日の食事で賢く摂る方法**を、分かりやすく解説します。

パントテン酸って、どんな働きをするの?体の「代謝の潤滑油」

パントテン酸は、体内で「補酵素A(CoA)」という重要な物質の構成成分となり、主に以下の多岐にわたる重要な役割を担っています。

  • 三大栄養素の代謝を助ける:私たちが食べた炭水化物、脂質、タンパク質を効率よくエネルギーに変えるための代謝経路のほぼ全てに関わっています。特に、脂質や糖質の代謝には不可欠で、体内のエネルギー生産をスムーズにします。
  • ストレス対抗ホルモンの合成:副腎皮質ホルモン(ストレスホルモン)や神経伝達物質の合成に必要なため、ストレスへの抵抗力を高め、精神的な安定をサポートします。
  • 皮膚や髪の健康維持:細胞の再生や、コラーゲンなどのタンパク質合成に関わるため、健康な皮膚や髪、爪の維持に貢献します。肌荒れや抜け毛、白髪の予防にも役立つと言われています。
  • コレステロールや脂肪酸の合成:体内で必要なコレステロールや脂肪酸の合成にも関与しています。

このように、パントテン酸は私たちの体がエネルギーを効率よく生み出し、ストレスに負けない体を作り、さらに美しさまでサポートする「代謝の潤滑油」として活躍しています。

1日にどれくらい摂ればいい?

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日に摂りたいパントテン酸の目安量は以下の通りです。

  • 成人男性:1日あたり5.0mg
  • 成人女性:1日あたり5.0mg

パントテン酸は様々な食品に広く含まれているため、通常の食生活を送っていれば不足することは稀だとされています。

パントテン酸が「足りないとどうなる?見過ごせないサイン」

パントテン酸は多くの食品に含まれるため、通常の食生活で欠乏症になることは非常に稀です。しかし、極端な偏食や特定の疾患がある場合に不足すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • 疲労感・倦怠感:エネルギー生産の滞りにより、体がだるく、疲れやすくなります。
  • 手足のしびれ・感覚異常:「バーニングフィート症候群」と呼ばれる足の灼熱感やしびれなどが報告されています。
  • 食欲不振・消化器症状:吐き気、嘔吐、腹痛などが現れることがあります。
  • 皮膚炎・脱毛:肌荒れや、髪の毛の健康に影響が出ることがあります。
  • 不眠・イライラ:神経機能への影響から、精神的に不安定になることもあります。

これらの症状は他の栄養素の不足や疾患でも起こりうるため、気になる場合は医療機関を受診しましょう。

パントテン酸の「摂りすぎ」も注意が必要?

パントテン酸は水溶性ビタミンであり、体内に蓄積されにくい性質を持っています。そのため、通常の食事や一般的なサプリメントからの摂取であれば、**過剰摂取による健康被害の心配はほとんどありません**。

非常に大量(1日あたり10g以上など)を摂取した場合に、一時的に下痢などの消化器症状が現れることが報告されていますが、これは稀なケースです。安心して食事から摂りましょう。

パントテン酸を効率的に摂る!おすすめの食品と工夫

パントテン酸は「どこにでもある酸」という意味を持つ「パントス」が語源になっている通り、**様々な食品に広く含まれています**。そのため、バランスの取れた食事を心がけることが、効率的な摂取につながります。

【パントテン酸が豊富な食品】

  • 肉類レバー(豚、牛)、鶏肉など。
  • 魚介類:イワシ、サケ、たらこなど。
  • :卵黄に多く含まれます。
  • 豆類:納豆、大豆など。
  • きのこ類:しいたけ、舞茸、エリンギなど。
  • 乳製品:牛乳、ヨーグルトなど。
  • 穀物:玄米、全粒粉など。

【効率的な摂り方ポイント!】

  • バランスの取れた食事を心がける:特定の食品に偏らず、肉、魚、卵、豆類、乳製品、穀物、きのこ類など、様々な食品をバランス良く摂ることが最も重要です。
  • 加熱しすぎない工夫:パントテン酸は熱に比較的弱い性質があります。煮込み料理や炒め物にする際は、加熱時間を短くするなどの工夫をしましょう。
  • 他のB群ビタミンと連携:パントテン酸は、他のB群ビタミン(ビタミンB1ビタミンB2ビタミンB6ナイアシンなど)と協力してエネルギー代謝を支えています。これらを一緒に摂ることで、より効率的に体内で働きます。

参考文献・出典