ビオチン(ビタミンB7)

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ビオチン(ビタミンB7):美容と健康の縁の下の力持ち!「代謝のカギ」

はじめに:ビオチンは、あなたの体の「うるおい・つやサポーター」!

「ビオチン」という名前は、最近、美容系のサプリメントなどで見かける機会が増えましたね。このビタミンB群の一種であるビオチン(ビタミンB7)は、**皮膚や髪、爪の健康維持**に役立つことで知られていますが、実はその働きはもっと多岐にわたるんです。

ビオチンは、私たちが食べた炭水化物、脂質、タンパク質の三大栄養素を**効率よくエネルギーに変える「代謝」において、非常に重要な酵素を助ける**、まさに体の「うるおい・つやサポーター」であり「代謝のカギ」とも言える栄養素なんです。今回は、美容効果だけでなく、**ビオチンの驚くべき働き**と、**毎日の食事で賢く摂る方法**を、分かりやすく解説します。

ビオチンって、どんな働きをするの?体の「代謝の指揮者」

ビオチンは、体内で様々な酵素の働きを助ける「補酵素」として機能し、主に以下の重要な役割を担っています。

  • 三大栄養素の代謝促進:糖質、脂質、タンパク質が体内で分解され、エネルギーに変換される過程で働く多くの酵素に不可欠です。ビオチンが十分にあることで、体は食べたものを効率よくエネルギーに利用できます。
  • 皮膚、髪、爪の健康維持:細胞の成長や再生、特に皮膚や粘膜、髪の毛の主成分であるケラチンというタンパク質の合成に深く関わっています。この働きから、肌荒れや皮膚炎、抜け毛、爪のトラブルなどの改善に役立つとされています。
  • アミノ酸や脂肪酸の合成:体内で必要なたんぱく質の構成要素であるアミノ酸や、体に必要な脂肪酸を新しく作り出す過程にも関与しています。
  • 神経機能のサポート:神経系の正常な機能維持にも関わっており、精神的な健康にも影響を与える可能性があります。

このように、ビオチンは私たちの体が効率よく代謝を行い、外見の美しさを内側から支える「代謝の指揮者」として活躍しています。

1日にどれくらい摂ればいい?

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日に摂りたいビオチンの目安量は、成人で1日あたり50µgです。

ビオチンは腸内細菌によっても一部が合成されるため、通常の食生活を送っていれば不足することは稀だとされています。

ビオチンが「足りないとどうなる?見過ごせないサイン」

ビオチンは多くの食品に含まれ、腸内細菌によっても産生されるため、通常の食生活で欠乏症になることは非常に稀です。しかし、抗生物質の長期服用や、生の卵白を大量に摂取した場合(卵白に含まれるアビジンというタンパク質がビオチンの吸収を阻害するため)などに不足することがあります。

不足すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • 皮膚炎・肌荒れ:脂漏性皮膚炎に似た皮膚の炎症や、肌の乾燥、湿疹などが現れることがあります。
  • 脱毛・白髪:髪の毛の成長に影響が出て、抜け毛が増えたり、白髪が増えたりすることがあります。
  • 爪の異常:爪がもろくなる、変形するといったトラブルが見られることもあります。
  • 食欲不振・吐き気:消化器系の症状が現れることがあります。
  • 疲労感・倦怠感:エネルギー代謝の滞りにより、体がだるく、疲れやすくなります。
  • 神経症状:手足のしびれ、うつ症状、幻覚などが現れることもあります。

これらの症状は他の栄養素の不足や疾患でも起こりうるため、気になる場合は医療機関を受診しましょう。

ビオチンの「摂りすぎ」も注意が必要?

ビオチンは水溶性ビタミンであり、体内に蓄積されにくい性質を持っています。そのため、通常の食事や一般的なサプリメントからの摂取であれば、**過剰摂取による健康被害の心配はほとんどありません**。

大量に摂取しても、余分な分は尿と一緒に排出されます。ただし、サプリメントの利用に際しては、製品の指示された用量を守るようにしましょう。

ビオチンを効率的に摂る!おすすめの食品と工夫

ビオチンは、レバーや卵、豆類、きのこ類など、様々な食品に含まれています。

【ビオチンが豊富な食品】

  • レバー(鶏、豚、牛)
  • 卵黄:卵白のアビジンと結合する性質があるため、加熱して食べるのがおすすめです。
  • 豆類:大豆(納豆、豆腐など)、ピーナッツなど。
  • 魚介類:イワシ、サバなど。
  • きのこ類:しめじ、舞茸、エリンギなど。
  • 牛乳

【効率的な摂り方ポイント!】

  • バランスの取れた食事を心がける:特定の食品に偏らず、肉、魚、卵、豆類、乳製品、きのこ類など、様々な食品をバランス良く摂ることが最も重要です。
  • 卵は加熱して:生の卵白に含まれるアビジンはビオチンの吸収を阻害するため、卵はしっかり加熱して食べることをおすすめします。
  • 腸内環境を整える:ビオチンは腸内細菌によっても合成されるため、善玉菌が多い健康な腸内環境を保つことも大切です。発酵食品(ヨーグルト、納豆など)を積極的に摂りましょう。
  • 他のB群ビタミンと連携:ビオチンは、他のB群ビタミンと同様に、互いに協力し合って代謝をサポートしています。様々なB群ビタミンをバランス良く摂ることで、より効率的に体内で働きます。

参考文献・出典