マンガン

▶︎ 他のミネラルも一覧で見る → ミネラルまとめページ

マンガン(Manganese):骨と代謝を支える“縁の下の力持ち”

はじめに:マンガンって、どんなミネラル?

「マンガン」と聞くと、乾電池の名前を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、実は私たちの体にとっても欠かせないミネラルの一つです。

体内では主に骨の形成や代謝、抗酸化酵素の働きなど、地味ながらも重要な働きを担っており、特にエネルギーの生産や皮膚・骨の健康維持に関わっています。

この記事では、マンガンの働き、欠乏や過剰の影響、効率的な摂取法を分かりやすく解説します。

マンガンの主な働き:代謝と骨の“縁の下の力持ち”

  • 骨の形成:カルシウムやリンとともに、骨の成長・維持に関与します。
  • 糖質・脂質・アミノ酸の代謝:酵素の補因子として、炭水化物や脂質のエネルギー代謝に不可欠です。
  • 抗酸化作用:細胞を守る酵素「Mn-SOD(マンガンスーパーオキシドジスムターゼ)」の構成成分であり、体内の活性酸素から細胞を保護します。
  • 結合組織や皮膚の健康維持:コラーゲンの生成や結合組織の維持にも関与し、関節や肌の健康に貢献します。

どれくらい摂ればいいの?

日本人の食事摂取基準(2020年版)では、1日あたりの目安量は以下の通りです:

  • 成人男性:4.0 mg/日(推奨量)
  • 成人女性:3.5 mg/日(推奨量)

※推奨量として明確な数値が設定されているわけではありませんが、これが実際の摂取目安とされています。

マンガンが不足するとどうなる?

通常の食事で不足することは稀ですが、吸収障害や長期間の栄養失調などで欠乏する場合、以下のような影響が考えられます:

  • 骨の成長障害:子どもでは骨形成が不十分になり、発育に影響を与える可能性があります。
  • 皮膚や髪の異常:コラーゲンの生成が滞り、皮膚の弾力や健康に影響。
  • 糖質・脂質代謝の低下:代謝効率が落ち、エネルギー不足や疲労感に繋がる可能性も。
  • 免疫力や神経系への影響:抗酸化酵素がうまく働かなくなることで、細胞がダメージを受けやすくなります。

摂りすぎには注意が必要?

サプリメントなどからの過剰摂取によって、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

耐容上限量(UL)※日本人成人の場合:

  • 10 mg/日

過剰摂取による主な症状:

  • 神経障害(振戦、歩行障害、記憶力低下など)
  • 消化器症状(吐き気、腹痛)
  • 鉄の吸収阻害 → 鉄欠乏性貧血のリスクが高まることも

食品から摂る分には問題ありませんが、サプリメント使用時は過剰摂取に注意しましょう。

マンガンを含む食品と摂取のコツ

【マンガンを多く含む食品】

  • 全粒穀物:玄米、全粒粉パン、オートミールなど
  • 豆類:大豆、インゲン豆、レンズ豆
  • ナッツ・種実類:アーモンド、くるみ、ひまわりの種
  • 茶葉:緑茶、紅茶(特に粉末茶に多い)
  • 野菜:ほうれん草、さつまいも、ごぼう

【効率的な摂取ポイント】

  • 玄米や雑穀を主食に取り入れることで、自然とマンガンの摂取量がアップ。
  • ナッツや豆類をスナックや料理に活用すると、手軽に補えます。
  • お茶の活用も意外な摂取源。食事中やリラックスタイムにどうぞ。

豆知識:マンガンと神経・記憶力の関係

マンガンは脳や神経の正常な機能にも関わっているとされ、最近の研究では記憶や学習能力、気分の安定にも関連がある可能性が示唆されています。

ただし、脳に蓄積しやすい特性もあるため、「多すぎても少なすぎてもNG」なミネラルと言えるでしょう。

参考文献・出典