【第1回】PFAS(有機フッ素化合物)とは? ―超入門編

このページは、全12回にわたってお届けする連載シリーズ
「PFAS(有機フッ素化合物)をやさしく学ぶ」の第1回目です。
最近ニュースなどで「PFAS(ピーファス)」という言葉を見かけたことはありませんか?
PFASとは、有機フッ素化合物と呼ばれる物質の総称で、私たちの暮らしの中でも意外と身近な存在です。この記事では、PFASとは何か?、なぜ「永遠の化学物質」と呼ばれているのかを、できるだけわかりやすく解説します。
PFASってなに?
PFASとは、「Per- and polyFluoroAlkyl Substances(ペル・ポリフルオロアルキル化合物)」の略で、日本語では「有機フッ素化合物」と呼ばれています。
PFASは、炭素とフッ素が非常に強く結びついた構造を持つため、熱や化学物質に強く、分解されにくいという性質があります。この性質が便利だったため、1950年代以降、フライパンのコーティング、防水スプレー、化粧品、食品包装、消火剤などさまざまな製品に使われてきました。
なぜ「永遠の化学物質」って呼ばれるの?
PFASは自然界で分解されにくく、一度環境に出ると長い間残り続けるという特徴があります。体の中に入ってもすぐには排出されず、人や動物の体内に蓄積されることが知られています。
そのため、PFASは「Forever Chemicals(永遠の化学物質)」と呼ばれ、近年では水や土壌、食べ物を通じて人が取り込んでしまう可能性が指摘され、国際的にも大きな問題となっています。
PFASっていくつあるの?
PFASは実は一つの物質ではなく、数千種類以上あるとされるグループです。代表的なものに次のようなものがあります:
名称 | 略称 | 特徴・用途 |
---|---|---|
ペルフルオロオクタン酸 | PFOA | フライパンのコーティングなどに使用。発がん性の可能性が指摘され、現在は多くの国で使用制限。 |
ペルフルオロオクタンスルホン酸 | PFOS | 消火剤や撥水加工に使用。こちらも使用禁止が進んでいます。 |
これらは特に有名なPFASであり、日本でも水道水などの基準値が設けられている物質です。
なぜ今、PFASが問題になっているの?
PFASは昔から使われていたものですが、近年、人の健康や環境に悪影響を与える可能性が明らかになってきたため、世界中で規制や監視が始まりました。
日本でも、一部地域の地下水や河川で高濃度のPFASが検出されたことから、「自分の住む地域は大丈夫なのか?」という関心が高まっています。
まとめ:PFASを正しく知ることが第一歩
PFASは日常の中に存在してきた便利な化学物質でしたが、「便利さ」の裏にある「リスク」に今、光が当たっています。
まずは正しい情報をもとに知ることから始めていきましょう。
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