【第2回】PFASはどこにある?私たちの暮らしと密接な関係
このページは、全12回連載のシリーズ
「PFAS(有機フッ素化合物)をやさしく学ぶ」の第2回目です。
PFAS(有機フッ素化合物)は、名前を聞いたことがなくても、実は私たちの生活の中に長年使われてきた物質です。今回の記事では、PFASがどんな日用品や場所に存在しているのかを、身近な例とともに紹介します。
PFASが使われてきた製品の一例
以下の表は、PFASが使用されてきた代表的な製品・用途の例です。
製品・用途 | PFASの役割 | 使用状況 |
---|---|---|
フライパン・調理器具(テフロン加工) | 焦げ付き防止のコーティング | 旧製品にPFOA含有。現在は代替品へ移行中 |
撥水・防汚加工された衣類(アウトドア用品など) | 水や油をはじく加工 | 一部でPFASフリー素材へ切替進行中 |
ファストフードの包装紙・ピザの箱 | 油が染みないようにするためのコーティング | 海外では禁止の動き、日本では未規制 |
化粧品(ファンデーション、マスカラなど) | 撥水性・持続性を高めるため | 一部でPFASが検出される製品も存在 |
消火剤(特に泡消火剤) | 火を素早く消すための泡形成 | PFOS等の使用に国際的な規制あり |
PFASの「便利さ」が抱えるジレンマ
PFASがこれほどまでに幅広く使われてきたのは、その「撥水性」「耐熱性」「化学安定性」が非常に優れていたからです。つまり、「落ちない・こぼれない・こげない」=非常に便利だったわけです。
しかし、その分解されにくさ=環境中に長く残ってしまう性質が、いま大きな問題になっています。
今も使われているの?禁止されていないの?
代表的なPFASであるPFOSやPFOAは、多くの国で製造・使用が禁止または制限されています。
ですが、完全に禁止されているわけではなく、代替物質として別のPFASが使われている場合もあります。
また、古い製品や未規制分野ではPFASが依然として使われていることもあるため、「今は安全」と思い込むのは早計です。
まとめ:まずは「どこにあるか」を知ることから
PFASは、目には見えないけれど、実は身の回りの多くのものに使われてきた物質です。
「完全に避ける」のは難しいかもしれませんが、どういう製品に使われやすいのかを知ることで、選ぶ力が高まります。
次回は、PFASが健康に与える影響について、科学的な視点からやさしく解説していきます。
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