【第4回】PFASは体に蓄積するって本当? ― 半減期と排出の話

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このページは、全12回連載のシリーズ
「PFAS(有機フッ素化合物)をやさしく学ぶ」の第4回目です。

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PFAS(有機フッ素化合物)について、「体に入ったらずっと残る」「排出されない」と聞くと、不安になる方も多いと思います。
この記事では、PFASが体内でどのように動くのか、どれくらいの期間残るのかを、やさしく解説していきます。

PFASは体に入るとどうなる?

PFASが体に入る主なルートは、飲み水、食べ物、呼吸、皮膚からの接触などです。体内に入ったPFASは、血液に取り込まれ、肝臓や腎臓などに移動します。問題は、その後「すぐには排出されず、長い間体内にとどまる」ことです。

半減期ってなに?

半減期とは、「体に取り込まれた物質の量が半分になるまでの時間」のことです。
たとえば、100の量のPFASを取り込んだ場合、半減期が3年なら3年後には50、さらに3年後には25…と減っていきます。

つまり、半減期が長いほど、体の中に長く残るということです。

主なPFASの半減期

PFASの種類 平均的な半減期(ヒト) 備考
PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸) 約5年 消火剤や撥水剤に使用。体内に長くとどまる。
PFOA(ペルフルオロオクタン酸) 約3年 かつてテフロン加工などに使用。現在は多くの国で規制。
PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸) 約8年 PFOSに似た構造。より長く体内に残る。

※半減期は個人差があり、性別、年齢、代謝、腎機能などによっても変わることがあります。

体から完全に出すことはできるの?

PFASは尿や汗、母乳、便などから徐々に排出されますが、そのスピードが非常に遅いのが問題です。
今のところ、「この方法で早く排出できる」という確立された手段はありません。

そのため、「体に入れないようにする」=予防が最も大切だと考えられています。

まとめ:PFASは長く体に残るからこそ、日常の工夫が大切

PFASは体に入るとすぐには排出されず、何年も体内に残る可能性があります。
これは「すぐに健康被害が出る」という意味ではありませんが、できるだけ体に取り込まない生活習慣が望まれます。

次回は、PFASがどのように水や食品に含まれているのかを詳しくご紹介します。

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