【第5回】PFASは食べ物や水に含まれるの?
このページは、全12回連載のシリーズ
「PFAS(有機フッ素化合物)をやさしく学ぶ」の第5回目です。
▶ 第4回「PFASは体に蓄積するって本当? ― 半減期と排出の話」へ進む
PFASは、台所用品や衣類だけでなく、飲み水や食べ物にも含まれる可能性があります。
今回は、PFASがどのように水や食物に入るのか、また実際に検出されている事例について紹介します。
なぜPFASが水や食品に入ってしまうの?
PFASは自然環境で分解されにくく、一度使われるとそのまま環境中を移動してしまいます。
その結果、以下のような経路で水や食物に混ざってしまうことがあります。
- 工場や基地などから排出 → 地下水・河川に混入
- 汚染された水で育てられた作物や魚介類に蓄積
- 食品包装や加工にPFASが使用され → 食品に移る
つまり、私たちの口に入る経路は「水」「農産物」「魚介類」「食品容器」など多岐にわたります。
どんな食品や水から検出されている?
日本や海外で、PFASが検出された具体的な事例をご紹介します。
項目 | 検出事例 | 備考 |
---|---|---|
水道水 | 一部の地域でPFOS・PFOAが検出 | 国が対策を進めており、濃度低下中 |
米 | 沖縄の一部地域の稲作調査で検出 | 土壌や用水の影響がある可能性 |
魚 | 淡水魚(特に川魚)からPFASが検出されることがある | 水質と密接に関係 |
包装された食品 | 海外ではファストフード包装からPFAS検出の報告あり | 日本ではデータ不足。今後の監視が必要 |
気にしすぎないで。でも「知っておくこと」は大切
現在、日本のほとんどの地域の水道水や食品は、健康に影響が出るほどの高濃度PFASが検出されているわけではありません。
しかし、ごく微量でも「ずっと取り続けるとどうなるか」はまだ完全にはわかっていないという面もあります。
だからこそ、「PFASはどこに含まれやすいか」を知って、無理のない範囲で避けていくことが大切です。
まとめ:PFASは“見えない”からこそ、情報で身を守る
PFASは空気のように見えません。でも、どんな食品や飲料に含まれる可能性があるかを知ることで、自分や家族の健康を守る選択ができます。
次回は、PFASに関する基準値について、日本と海外の違いを比較していきます。
▶ 第6回「PFASの基準値はあるの? ― 世界と日本の違い」へ進む