お酒は脳に良い?最新研究が覆す“ほどほど神話”【2025年】

お酒と認知症の関係:飲み方次第で変わる?

アルコール 摂取 認知症リスクのイメージ画像

えっ、ほどほどに飲むと脳にいいって本当?

「ワインを1日1杯なら健康にいい」──そんな話、聞いたことありませんか?
実はこの“ほどほど神話”、最新の科学で見直されつつあります。
最近のスペインの大規模研究では、お酒を飲む人も飲まない人も、認知症リスクにほとんど差がなかったという結果が出たのです。

お酒と脳の関係は、まるで「ゆっくり沈む氷山」のようです。
表面だけ見て「少しなら安全」と思っても、下には見えないリスクが潜んでいる──という意味です。

鍵を握るのは“飲む量よりも人生の飲み方”

この研究では、30,211人を平均23年間追跡し、20代から60代までの飲酒習慣を調べました。
ワイン、ビール、リキュールなど、飲み方の種類も考慮されましたが、驚くべきことにどのタイプでも認知症リスクに有意な差はなし
つまり、赤ワインを選んでもウイスキーにしても、脳への影響はほとんど変わらなかったのです。

なぜ効かない?脳とアルコールの“現実的な距離”

かつては「少量のアルコールは血流を良くし、脳を守る」と言われていました。
しかしこの研究では、“適量飲酒が脳を守る”という証拠は確認されませんでした。
著者らは「以前の研究は“病気で飲めなくなった人”を含めたことで結果が歪んでいた可能性がある」と指摘しています。
これは「シック・クイッター・バイアス」と呼ばれる有名な統計上の落とし穴です。

やってみる?今すぐできる小さな一歩

お酒を完全にやめる必要はありませんが、“習慣的に飲まない日”をつくるだけでも体と脳の回復時間が得られます。
また、マグネシウムやビタミンB1など、アルコールで消耗しやすい栄養素を補うのもおすすめです。
「楽しく飲むけれど、健康を主役にする」──そんなバランス感覚が大切ですね。

要するにどうすればいいの?

  • お酒を飲む量よりも、続け方・習慣がカギ
  • 週に数日の“休肝日”を設けるだけでも効果的
  • 最新の研究では、適量でも脳保護効果は確認されず

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じゃあ、本当に根拠はあるの?

この研究が教えてくれること

この研究は、ヨーロッパ10か国で行われている「EPIC研究」のスペインコホートを対象にしたものです。
3万人超を平均22.8年間追跡し、1,114人が認知症を発症。そのデータをもとに、飲酒習慣とリスクの関連を統計的に分析しました。

研究の中身を見てみよう

対象者・人数

29〜69歳の男女30,211名(スペイン4地域)

研究の方法

前向きコホート研究。飲酒量・パターンを質問票で収集し、医療記録と照合。死亡リスクなどの交絡因子も補正。

評価項目と期間

平均追跡期間22.8年。主要評価は全認知症・アルツハイマー病の発症率。

結果はどうだった?

アルコールを飲む人も飲まない人も、認知症リスクに有意な差は見られませんでした(sHR 0.96, 95%CI: 0.82–1.11)。
男女差、飲酒種類(ワイン・ビール・蒸留酒)でも同様に差はなし。

著者たちはどう結論づけた?

「中程度の飲酒が脳を守るという根拠は確認されなかった。過去の研究結果は統計的な偏りの影響を受けていた可能性がある」と結論づけています。
また、世界保健機関(WHO)の「アルコール摂取削減戦略」にも一致する内容でした。

まとめ

お酒と脳の関係は、思っているより単純ではありません。
“ほどほど”が安全とも限らず、“ゼロ”にこだわる必要もない。
自分の体調や生活のリズムに合わせ、「飲む・飲まないを選べる自分」でいることが、最も科学的な健康法かもしれません。

出典:この情報のもとになった論文

論文タイトル著者掲載誌発行年
Addressing common biases in the evaluation of lifetime alcohol consumption patterns and dementia risk: the EPIC-Spain dementia cohortHuerta JM, Colorado-Yohar SM, et al.Frontiers in Nutrition2025

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