シクロアリイン:ネギや玉ねぎの“におわない”硫黄化合物
はじめに:シクロアリインとは?
シクロアリイン(Cycloalliin)は、にんにくや玉ねぎ、長ねぎなどのネギ属(アリウム属)野菜に含まれる含硫化合物の一種で、においの少ない硫黄成分として知られています。主に玉ねぎを加熱したときなどに生成され、血液サラサラ効果や抗酸化作用が注目されています。
ちょっと気になる!シクロアリインの豆知識
- においが少なく加熱に強い!
アリシンのようなツンとした匂いがなく、加熱調理後にも成分が残るという特徴があります。炒め玉ねぎやスープでも摂取可能です。 - 「血液サラサラ」成分として研究が進行中
血小板凝集を抑える働きが報告されており、カリウムやマグネシウムとあわせて摂ることで、循環器の健康維持に役立つと考えられています。 - 発酵や熟成で量が増える?
一部の研究では、玉ねぎやにんにくを発酵・熟成させると、シクロアリインの生成量が増えると報告されています。
シクロアリインの主な働き
- 血液サラサラ効果:血小板の凝集を抑制する作用が報告され、動脈硬化や血栓予防に関与する可能性があります。
- 抗酸化作用:体内の酸化ストレスを軽減し、老化や慢性疾患の予防に寄与するとされています。
- 高血圧予防:血管の拡張作用を持つ可能性があり、ナトリウム過多による血圧上昇の抑制に働く可能性があります。
どんな食品に含まれている?
シクロアリインは、次のようなネギ属野菜に含まれています。
- 玉ねぎ
- 長ねぎ
- にんにく
- にら
- らっきょう
特に加熱調理や発酵・熟成の過程で生成量が増えることが知られています。炒め物やスープ、黒にんにくなどが有効な摂取源です。
アリシンやSACとの違い
シクロアリインはアリシンやSACと同じく硫黄化合物に分類されますが、
といった違いがあります。それぞれを適切に取り入れることで、硫黄化合物の恩恵を幅広く享受できます。
摂取のポイント・注意点
- 通常の調理(炒め物、スープ、煮物など)で無理なく摂れます。
- 血液凝固に影響する可能性があるため、抗血栓薬を服用中の方は医師に相談を。
まとめ:シクロアリインは“におわない”ネギの健康パワー
シクロアリインは、にんにくや玉ねぎなどに含まれる加熱に強い硫黄化合物で、血流改善・抗酸化・高血圧予防などの健康効果が期待されます。においが少なく、日々の食事に取り入れやすいのも大きなメリットです。
出典
- Krest I, et al. (2005). Cycloalliin: stability and transformation in allium species. J Agric Food Chem.
- Roh YS, et al. (2019). Physiological activities of cycloalliin and its health benefits. J Food Sci Nutr.
- Sun Y, et al. (2017). Formation and bioactivities of cycloalliin in processed garlic products.